愛知県名古屋市 臨月主婦切り裂き殺人事件
事件概要
事件発生日時:1988年3月18日
被害者:主婦(当時27歳)
殺害方法:絞殺
事件現場
名古屋市中川区富田町供米田
二次資料からのデータ
時系列
午前中:洗濯を済ます。①
12時過ぎ:自宅近くの食料品店で菓子パン購入。①
13時すぎ:夫が妻に電話。元気に応答。①
13時50分:主婦が娘と一緒に被害者宅へ訪問。①
15時2分:主婦が帰る。被害者宅を出るときカギをしていなかった。①
15時7分:被害者が主婦を見送る。①
15時10分~20分ごろ:被害者のマンション内で不審者の訪問あり。①
16時頃:配達員が来る。手紙はそのまま。④
18時50分ころ:夫が会社を退社する前に家に電話するが誰も出ない。②
19時40分ころ:夫が自宅に到着。②
14時30分~19時30分:死亡推定時間(司法解剖の結果)①
状況
死因
絞殺
(絞殺の)凶器
電気こたつのコード
被害者の状況
青のマタニティドレスにセーター、ピンクのジャンパー、黒のストッキング姿で、頭を南に向けてあおむけに倒れていた。
両手を衣類のひもで後ろ手で縛られ、首には電気ごたつにつながれたコードが巻き付いていた。
腹部には電話器とミッキーマウスの人形がついた車のキーホルダーが押し込まれていた。
赤ちゃんの状況
被害者のひらかれた脚元に男の赤ちゃんがいた。
膝、お尻、下腹部に刃物でついた傷があり、へその緒はすでに切り取っていた。
部屋の状況
争った形跡はなし。
被害状況
被害者の財布を奪っている。
犯人の証拠となるもの
足跡は残されていた。(つまり土足であがりこんでいた)
警察は指紋について有無について発表していない。
不審な男が目撃される
被害者のマンションに住む主婦が15時10分~20分ごろ、いきなり玄関でドアノブをガチャガチャと回す音がなり、チャイムが鳴ったので出ると、
「ナカムラさんという家は知りませんか」と尋ねてくる。
男は年齢30歳ぐらい、身長165㎝前後の中肉、丸顔の見た感じサラリーマン風であった。
被害者の性格
神経質といえるほど几帳面な性格で、使った食器はすぐ洗う習慣だったが、犯行現場には友人と飲んだ湯飲み茶碗などがコタツの上に置かれたままになっていた。
犯人は女性
犯人の血液分析から女性と判明。③より
事件は時効
wikipediaによると、2003年(平成15年)3月18日に公訴時効が成立してしまっている。
【参考】
本
①田宮榮一監修 「捜査ケイゾク中 未解決殺人事件ファイル」 2001年10月。
②「新潮45」編集部編 「殺人者はそこにいる」逃げきれない狂気、非常の13事件 新潮社 平成14年4月3日
③別冊宝島編集部編 「昭和・平成日本の凶悪犯罪100」 宝島社 2017年8月
④グループSKIT編 日本人を震撼させた未解決事件71 PHP文庫 2012年
サイト
wikipedia
考察
いつ殺されたのか
捜査本部は、犯行時間を友人を見送った直後に絞り込んでいるとしている。
このことは、神経質といえるほど几帳面な性格で、使った食器はすぐ洗う習慣だったが、犯行現場には友人と飲んだ湯飲み茶碗などがコタツの上に置かれたままになっていたからとされている。
また、被害者は、ピンクのジャンパーを着たまま発見されている。
家にいるときは、ジャンパーは着ないであろう。
そのため、2つが考えられる。
①外から家に帰ってきたときに襲われた。
②家から外出しようとしたときに襲われた。
そして、不審者の訪問の(1)前か、(2)後かが問題になってくる。
:
15時7分:被害者が主婦を見送る。
(1)被害者が犯人に殺害される?
15時10分~20分ごろ:被害者のマンション内で不審者の訪問あり。
(2)被害者が犯人に殺害される?
:
しかし、仮に(1)であるならば、3分~17分で、被害者を手を縛り、絞殺し、帝王切開して赤ちゃんを取り出し、電話線を引きちぎり、電話器とキーホルダーを腹に入れて、手を洗って・・・という行動をしていたら、その時間では行えないだろう。
殺害を加えた時系列
そのため、訪問があった後に被害者は殺害された(2)と考えられ、時系列は下記のようになるはずだ。
午前中:洗濯を済ます。①
12時過ぎ:自宅近くの食料品店で菓子パン購入。①
13時すぎ:夫が妻に電話。元気に応答。①
13時50分:主婦が娘と一緒に被害者宅へ訪問。①
15時2分:主婦が帰る。被害者宅を出るときカギをしていなかった。①
15時7分:被害者が主婦を見送る。①
15時10分~20分ごろ:被害者のマンション内で不審者の訪問あり。①
被害者が犯人に殺害される
18時50分ころ:夫が会社を退社する前に家に電話するが誰も出ない。②
19時40分ころ:夫が自宅に到着。②
なぜ被害者の腹に電話器とミッキーマウスのキーホルダーを入れたのか
これがこの事件の最大の謎である。
これには、2つ可能性が考えられる。
①偶然説:近くにたまたまそのものがあったから
②必然説:意識的に入れた。
①偶然説
当時はまだ、現在のように携帯は普及しておらず、電話はもっぱら固定電話を使っていたと思われる。
犯人は電話線を引きちぎりることにより、被害者が生きているときに警察に連絡をさせないように、もしくは誰かが発見したとき、少しでも警察に連絡が遅らせるためかもしれない。
その時の状況がわからないのではっきりと言えないが、推測としてその引きちぎった電話とミッキーマウスのキーホルダーは被害者の近くのこたつの上にあったかもしれない。
そして、近くにあった電話器とミッキーマウスのキーホルダーをへこんだ腹に「なんとなく」入れてみた。という考えである。
②必然説
犯人が、電話器とミッキーマウスのキーホルダーを意識的に入れた。
ということである。
これは、いろいろな憶測が考えられているが、実際のところ判明はしていない。
しかし、当時ミッキーマウスのキーホルダーはどこにあったのか。
このミッキーマウスのキーホルダーは車のカギについていたものである。
車のカギといえど、他人がすぐに見つけられるようなところに置くだろうか。
普段、他人が見つけられないようなところに保管してあれば、顔見知りの犯行とも考えられる。
このミッキーマウスのキーホルダーが普段どこに保管されていたかが気になるところである。
なぜ腹部を切るとき下から切ったのか
腹部を切るときに上から下ではなく、下から上に切られていたとされている。
この行為は可能性として、被害者を後ろから首を絞めた後、そのまま、服を脱がせ、後ろから切る行為をしたのではないだろうか。
もし仮に被害者の対面して腹を切る際、刃物で下から上というのは切りづらいはずである。医療でも、上から下に切るそうである。
後ろから絞殺し、そのまますぐに腹を切る行為を行ったため、切り口が、下から上になった可能性が考えられる。
絞殺は後ろから行われたか
どのように絞殺がおこなわれたかの記述は見当たらないので推測になるが、絞殺する際、すでに自由を奪いいつでも殺せる状況なら、被害者の歪んだ表情を好むような殺人鬼以外は、後ろから首を絞めたのではないだろうか。
状況からもし被害者を後ろから絞殺した場合、犯人の後ろは壁になっている。
もし、前から首を絞めたなら、玄関は開いていたので、旦那もしくは知人が入ってきた場合、玄関から丸見えである。
もし絞殺中に見つかった場合、犯人は玄関からの発見者と被害者との挟み撃ちにあうだろう。
そのため、挟み撃ちにならないよう壁を背に後ろから絞殺したかもしれない。